外科治療
親知らずの抜歯は必要なのか
自由が丘にある歯医者、オーラルクリニーク自由が丘 歯科&矯正歯科の歯科医師、岡田です。
当院に通っていらっしゃる患者様からよく、「親知らずって抜歯したほうがいいですか?」と質問をいただきます。
私達歯科医師は、「生え方によっては抜歯をしたほうがいい親知らずもあります」とお答えしています。
ではどのような親知らずが抜歯したほうが良く、どのような親知らずはそのままにしていても影響がないのでしょうか。
今回は親知らずの抜歯の必要性について解説しています。
目次
親知らずってみんなあるの?
親知らずは、一般的には人口の約70%に生えてくると言われています。本来、親知らずは上下左右で4本ありますが、親知らずが1本も存在しない方もいます。
完全に歯茎や骨に埋まっている親知らずも、大きなレントゲンを撮ると何本存在するのか確認することができます。
親知らずを抜いたほうがいい人はどんな人?
親知らずを抜くべきかどうかは、個人の口腔状態や生え方、診断によって異なります。しかし、以下のような場合には、親知らずを抜いた方がいい可能性が高くなります。
痛みや腫れがある場合
親知らずが少しだけ生えている場合磨きづらい場合が多く、どうしても歯垢がたまりやすくなってしまいます。その結果、歯茎が炎症を起こしたまりことにより、痛みや腫れが起こる場合は、抜歯を検討します。
咬合(噛み合わせ)の問題がある場合
親知らずが斜めに生えている場合や、生える位置が不適切な場合には、周囲の歯や咬合に影響を与えることがあります。また、噛み合う歯がない親知らずも歯茎を傷つけてしまう可能性があるので抜歯を検討します。
口内環境の改善が必要な場合
親知らずが斜めに生えていることによって手前の歯が磨きづらく虫歯になってしまったり、歯ぐきから少しだけ出ている状態のため歯ブラシが届きづらく、歯周病の原因になっている場合は抜歯を検討します。歯列矯正治療が必要な場合
歯列矯正治療の際に親知らずがあることで歯が動かしづらかったり、矯正後に親知らずが生えてくることで歯並びが後戻りしてしまう等の支障をきたすことがあります。この場合には、抜歯を検討します。
抜かないといけない親知らずを、抜かずに放置すると大変なことに?!
虫歯が進行すると、神経を抜かないといけなくなります
親知らずの虫歯を放置していると、細菌が神経にまで感染してしまい、根っこの先に膿の袋を作ってしまいます。そうなると神経の治療をしないといけません。
さらに、歯肉が大きく腫れてきて、リンパの腫れや顔の腫れも引き起こします。
その場合は、歯肉の切開が必要になる可能性もあります。
骨髄炎になる可能性
歯の根っこの中の細菌が顎の中に広がることで骨髄に細菌が感染し、顎の骨を腐らせて骨髄炎を起こします。骨髄炎は熱や嘔吐が起こる辛い病気です。
最悪の場合、脳梗塞や心筋梗塞による死
さすがに死にはしないだろうと思っているかもしれませんが、油断は大敵です。実は、虫歯の放置が原因で命にかかわる病気を招く恐れもあるんです。
虫歯を放置することによって虫歯菌が血液に侵入し、血管を通じて全身に回ります。
この時、虫歯菌が脳に回れば脳梗塞、心臓に回れば心筋梗塞を引き起こします。
実際に虫歯を放置して死に至った例も本当にあります。
腫れている時は麻酔が効きづらいため、抜歯はできなくなってしまいますし、上記のような危険があるため、抜く必要のある親知らずは放置せず早めに抜くことをおすすめします。
抜かなくても良い親知らず
親知らずは全て抜かなければいけないわけではありません。下記のような方は、無理に親知らずを抜く必要はないと考えます。
上下の親知らずがしっかりと噛み合っていて咬合に役立っている方
しっかりと上下が噛み合っている親知らずがあることで、咀嚼率があがります。歯が欠損している場所へ、親知らずの移植を考えている方
親知らずを欠損している場所へ移植できる可能性があります。親知らずの前の歯が大きな虫歯になっている方
親知らずの手前の歯が、大きな虫歯や重度の歯周病で抜歯しないといけない場合に、親知らずを残しておくことでブリッジに使えたり、義歯のバネをかけるために使えるため、残すことがあります。親知らずが顎の骨の深くに埋まっており、周りの歯や歯茎に影響がなさそうな方
深くに埋まっている親知らずは、磨きづらいことにより隣の歯を虫歯にしてしまったり、歯茎を腫らしてしまう可能性がないためです。また、下歯槽神経という下顎の感覚を司る神経にかなり近接していたり接触している可能性があり、この場合は抜歯により感覚麻痺が起こってしまうリスクがあるため、抜歯しないことがあります。
親知らず抜歯は無痛治療を行えば痛くないし、怖くない!
親知らずの抜歯って痛いんでしょ?痛みや音が怖くてやりたくない!とよく相談されます。そのような方には、静脈内鎮静法を併用した治療がおすすめです。
静脈内鎮静法は点滴により麻酔薬を腕の静脈に投与し麻酔を行う方法です。
静脈内鎮静法を行っている状態は、うっすらと意識はありますが、ほとんど眠っているような状態になります。
治療にともなう不快な痛みや振動・音などがほぼ気にならず、快適に歯科治療を受けることができます。
また、複数の親知らずを同時に抜歯したい場合も静脈内鎮静法をお勧めしています。
親知らずの生え方によって抜歯するかどうか決定しましょう
親知らずは必ずしも抜歯しなければならないものではありません。生え方や口腔内環境などをみて、担当の歯科医としっかり相談し、現在痛みや腫れがあったり、将来的にトラブルのもとになりそうだと判断されたり、矯正治療に抜歯が必要な場合には抜歯すると良いでしょう。
親知らずに関してお悩みがある場合は、オーラルクリニーク自由が丘 歯科&矯正歯科にご相談頂ければと思います。
【監修】歯科医師 岡田幹
九州歯科大学卒業
女性歯科医師ならではの視点で、歯科治療を行います
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